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おしゃれデザインで人気の【片流れ屋根】そのデメリットとは?
こんにちは!
今回は、「片流れ屋根(かたながれやね)」についてのお話を、住宅建築コーディネーターの藤原さんに伺います。

(協会スタッフ)
まずは「片流れ屋根(かたながれやね)」とはどのようなものなのか教えてください。
(藤原さん)
屋根の形式のひとつで、屋根の片方に向かって傾斜のある屋根のことを言います。
このような形状のものですね。

(協会スタッフ)
おしゃれなデザイン住宅によくある形状ですね!
見た目もスタイリッシュですので、人気のデザインかと思いますが、考慮すべき点はどんなところなのでしょうか?
(藤原さん)
そもそも、家を支えるのは一般的には「柱」です。
片流れ屋根の住宅においてもそれは同様で、1階・2階部分は柱によって支えられています。
しかし、一般的に屋根を支えているのは「柱」ではなく、柱のような強度の無い「束(つか)」と呼ばれてるもので、片流れ屋根も同様です。
通常の屋根は一箇所に極端に負荷がかからないような作りになっていますが、片流れ屋根の場合、「長辺」の部分に集中的に重みがのしかかるような作りになっています。
更に束を留めている金具も簡易的なものです。
そのため、耐震性などで損傷の度合いで見ると、バランスの良い屋根と比較すると、明らかに損傷しやすいとも言えるでしょう。
そして、屋根の傾斜がきつければきついほど、日常的にも外壁部分が悲鳴をあげていると思います。
私の現場は、小屋裏の束の固定の仕方も、指示を入れています。
(協会スタッフ)
では、傾斜の緩い片流れ屋根であれば、デザインも強度も両立できるのでしょうか?
(藤原さん)
そうとも言えません。傾斜の緩い片流れ屋根の場合には、また別の懸念点があります。
雨が降った際に、水は屋根の上から下に流れますよね。
そのため屋根は、上から流れてくる水が屋内に入らないような構造になっています。
しかし、台風など風の強い日には「水の逆流」が起こります。
屋根は下から上にのぼる雨水は想定していないため、逆流が起こった結果「雨漏り」が発生してしまうのです。
(協会スタッフ)
例えば、雨漏りを想定して逆流しても水が入らないよう隙間をふさげば解決するのでしょうか?
(藤原さん)
そう簡単な問題でもありません。
屋根断熱を採用する際には、屋根には湿気を防ぐために空気の道を作る必要があり、その出口の施工が適切でなければ、今度は屋根裏で結露がおこってしまいます。
結露がおこると家の構造材が腐敗したりカビが発生したりするため、家へのダメージが大きくなってしまうんですね。
このように、「デザイン」だけで家の作りを考えてしまうと、思わぬところで落とし穴がありますので、お気をつけください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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